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ペギーが地面に両手をつけると、魔法陣が動き出す。
陣の中に画かれた文字や星型のマークが高速で回転する。
そして、現れたのはカインの背よりも何倍も大きい氷の巨人。
ゴーレムという岩の魔物を真似て造られた魔法だった。
(魔力はギリギリ……意識が途切れそうだ……でも勝った)
ペギーはゴーレムの後ろに隠れながらそう確信した。
ゴーレムの攻撃力は一撃で地面を割るほどに強力。
それに加え、生半可な武器では折れてしまうほどの強靭な体。
素早さはないがその二つがそれを補って余るほどだ。
「行け……ゴーレム……」
蚊の鳴くようなペギーの声とともにゴーレムはゆっくりとカインに向かう。
《あまねく闇よ。闇をもって在るべく姿へ還せ。ダークネスリザレクション》
カインは魔族の贈り物である魔法を使った。
カインの全身から黒い光が強く放たれると、ゴーレムの体に触れる。
次の瞬間。
「う、嘘だ……」
ゴーレムの姿は塵となって消えた。
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