認めているからこそ

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外は夕暮れ。 先程まで聞こえていた剣が撃ち合う甲高い音はなくなり、校庭は静かになっていた。 「カイン。おめでとう」 帰り際、校庭を整備する教師達の中から声が掛かる。 「先生……ありがとうございます」 「……カイン。本当に強くなったな」 フラウールは目を細めた。 去年のこの日、彼女はカインを知った。 負けて悔しいと涙を流す少年を。 (たった一年で……本当に強くなった……) 感慨深くカインを眺める。 そんな優しい視線を受け、気恥ずかしそうにカインは目を反らした。 「皆の……先生のおかげです」 いじらしいカインを見た瞬間、 「ああ!カイン!これからもなんでも言ってくれ!なんでもするからな!なっ!」 フラウールは暴走した。 カインの背後を取ると背中を抱き寄せる。 その後、他の教師から注意を受けるまでフラウールの抱擁は続いた。
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