認めているからこそ

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「遅かったな」 カインが校門をくぐると、マティがそこに立っていた。 「マティ」 「おめでとな!見てたよ!やっぱすげーなー!」 両手を後頭部に乗せ、カインの前を歩く。 そんな少女に笑みを送ると横に並んで家路に着いた。 自宅に帰るとマティはメイドとなり、カグヤに叱られ、カインは苦笑いしながらその光景を眺める。 そうして日が暮れていった。 「兄様……兄様……」 次の日の朝。 カインの目覚めは早かった。 薄暗い部屋とまだ霧掛かった窓の外を見れば一目瞭然だ。 「…………リリ?どうした?」 カインの肩を揺する妹。 目を擦りながら体を起こす。 「いえ、昨日お祝いの言葉を言ってなかったものですから」 「……そっか」 「はい。おめでとうございます」 「ありがとう」 わがままな妹。 でもカインにとってはかわいく思えた。 「……でも、ちょっと時間が早いよ」 なので、そう苦笑することしかできなかった。
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