認めているからこそ

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カインは既に学園に着いていた。 今日は特殊な日なので朝教室に行かずにそのまま校庭に集まっている。 全体的に見て人数は少なく、昨日の戦いが例年よりも激しかったことを物語る。 そんな中、勝ち残った者は一握りであった。 教師達は前列に並び、生徒達と向き合うように立つ。 「ほっほっほっ。皆、良い顔つきをしておるの」 深い緑の三角帽子を被り、長い髭を垂らす老人が教師達の列から一歩前に進む。 両手を広げ、帽子と同色のローブを揺らした。 「おはよう生徒諸君。ファブリット・ゴーゼンじゃ」 お馴染みの挨拶をするファブリット。 生徒達と顔を合わすことが少なく、いつも挨拶とともに自分の名を呼ぶことがほとんどだ。 ファブリットは子供のように燦燦(さんさん)と輝く瞳を向けた。 「あまり多くは語るまい。期待しておる!!それだけじゃ!」 ファブリットはローブを翻すと早々に列へと戻る。 早く生徒達の戦いぶりが見たいがため、生徒達のはちきれんばかりの闘志に応えるためであった。
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