認めているからこそ

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ばらばらと生徒達は動き出す。 試合に控える者や良い位置での観戦をするための場所取りをする者、誰かを探してキョロキョロと見渡す者などだ。 「ギルアークくん」 カインも木陰に移動しようと歩いていると、生徒の合間から声が掛かる。 「ガウンディさん……」 ガウンディと呼ばれた少女――フラウールの妹であるエリザリーネ・ガウンディである。 フラウールと同じ髪色にピンで止められた前髪、髪は肩よりも少しくらい長い。 青のローブと腰に掛けられた剣はいつもの彼女の姿であった。 「今日はがんばってね」 そう言う彼女の表情には少し曇りがあった。 「……ありがとう」 カインはエリザリーネに控えめに返す。 なぜなら彼女は今日戦えることはないからだ。 「ライファさんは……凄く強いよ」 「うん……見てた」 エリザリーネを敗った少女――ライファ・ヴァルドール。 この国の国族という王族ゆかりの者だ。
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