認めているからこそ

8/19

88756人が本棚に入れています
本棚に追加
/539ページ
「あぁ~やっちゃった!!試合終わってねーだろーなー!」 マティは白ローブを揺らし、学園の道のりを急いでいた。 低かった太陽はすでに真上から傾いている。 廊下の掃除を任されたマティであったが、飾られていた鎧や絵画のちょっとした汚れも気になり、とうとう雑巾で拭く作業に入ってしまった。 「まずいよ~!」 少女はひたむきに走る。 「はぁ、はぁ、はぁ……やっばい……」 マティは校門に手を掛け、肩で息をしながら校庭を見る。 しかし、どこも試合は行われていない。 「おわった…………ん?」 肩を落としていたマティであったが、一番端に動きが見られた。 「あっ!」 「よかったですね……」 「ひっ!」 いきなり後ろから声を掛けられたマティは情けない声を出す。 恐る恐る振り向くと、 「もう少し遅かったらぶちまわすところでした」 拳を鳴らすカグヤが立っていた。 命拾いしたマティはほっと胸を撫で下ろし、校庭に意識を集中し始めた。
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88756人が本棚に入れています
本棚に追加