認めているからこそ

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《――闇よ、我が力となり、道阻む者滅却せよ》 カインは詠唱を完成させる。 もう一度ライファを見ると、彼女はすでに魔法を放っていた。 カインに迫る荒れ狂う土で形成された地を這う龍。 土を喰らい今にもカインに襲い掛かろうとしている。 《ダークディザスター》 眼前へと迫る龍に、カインは魔法を放った。 その瞬間、ダークレイよりも遥かに太い槍が龍を飲み込んだ。 その槍は龍を消し去るどころか地面をえぐり、土の破片がダークディザスターの後を追うようについて来る。 (……この魔法は威力がデカすぎるんだ……) カインがこの魔法を初めて見た時は、数十といたディーバルトの怨念の姿が一瞬で消えるほどだ。 防御壁の中といえどダメージは計り知れない。 龍が消え、次に向かうのはライファ。 しかし、ライファはその威力を前にしても引かない――引こうとしない。 逆に彼女は自分に魔法が届くわずかな時間で魔力を練り始めた。 「無茶だ……避けるんだ!ライファ!」 カインは無意識の内に叫んだ。
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