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『遊女殺害の容疑で無期懲役の判決が下された西園寺圭介容疑者が○日未明死亡していた事が判明し、警察では……』
ブツンッ
「あ、なんで消すのさ!今の事件気になってたのに!」
テレビを消されたことでラーメンを食べながらテレビを見上げていた女性がその電源を落とした犯人…店主を睨みつける。
「こんな事件…興味本位で知るもんじゃねぇ…どうせマスコミは真実を語らねぇんだ」
テレビのリモコンをカウンター上の台拭きの上に投げれば店主は忌々しげに呟いた。
その表情は懺悔と後悔…そして哀愁を称えていた
「え…おじさんこの事件のこと知ってるの?」
「……さぁな」
興味津々とばかりの女性の期待に満ちた瞳から逃れるように店主は流しに視線を向ける。
この「事件」は未来永劫真実が語られることは無いだろう
幾ら知って欲しいと足掻いた所で
無駄なのだ 全てが…
「…なぁんだ…私、あなたになら何か聞けると思ったのにな…誰もが欲しがる、西園寺家にもみ消された『真実』を…」
平坦な…感情を読みとることの出来ない声で女が告げる。
店主はその声に弾かれるように視線を向け、女を凝視した
「あんた…何者だ?」
「…私の名前は西園寺千景…西園寺圭介は私の従兄よ…」
「……なぜ西園寺家の人間が知りたがる…お前達は…」
女…千景が名乗ったことで店主は元々強面の顔によりいっそう力を込めてその人を睨みつけ言葉を紡ぐ。
が、その言葉は千景が指を差し出した事で遮られてしまった
「私はね…知りたいの。圭介兄さんが何故赤麗を殺したのか…殺さなくてはいけなかったのか…そして何故獄中で自殺したのか…」
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