序章

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 だからこそ、楽園と楽園を結ぶライフラインの設置が急がれた。突然現れる変質した人間や超常現象に多大な犠牲を払いながらも、人々は楽園の間にネットワークを張り巡らせた。その甲斐が現在の平和な生活を約束しているのだ。  しかし彼らは気付かない。大きな苦労をもって成し遂げた安息も、束の間のものに過ぎなかったことを。人々が平和にもたれかかる脇で、着々と新たな破滅が準備されていることを。  そのまま気付くことが無ければ、あるいは今にでも世界は再び災厄に見舞われていたかもしれない。しかしそうなるのは、少なくとも今ではない。水面下で動く災厄の芽と同様に、その芽を刈り取ろうとする者たちがいるためだ。  真の安寧を得るため、そして災厄から世界を守るための戦いは、今も続いている。
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