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「おい、それ…どういう意味だよッ…!」
いつものように適当なことを言っているのだろうか?
もし本当だとしても、何故コイツが知っているんだ?
訳が分からなくなって、アルに掴みかかる。
でもアルは俺を引き離すでもなく、冗談だと笑うでもなく、ただ落ち着き払って答えた。
「俺がさっき此処に来た時、耀と菊が仲良く出て行ったのとすれ違ったんだぞ。」
仲良く?
菊が…耀と…?
「ハ、ハハハハハ…。そんなわけないだろ!菊が、アイツと仲良くな、ん…て……」
アルの言葉を信じたくなくて、無理やり笑いながら顔を上げる。
それでも、やっぱりアルは笑っていなくて、本当のことだと実感させられた。
「何で…菊…。」
自然と手から力が抜けた。
ショックで目の前が真っ暗になる。
膝の力が抜けそうになった途端、アルに抱きしめられた。
そして、俺の耳元で囁く。
「アーサー、君が菊と仲が良いってことは知ってたんだぞ。でも菊は…」
そう、それはまるで
「君を見捨てたんだ。」
悪魔のように甘く―甘く―…。
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