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未だ仲良く話し続ける菊に歩み寄る。
こちらに気付いたのか、菊の表情が少し曇った。
でも、今の我にはそんなことどうでもいいある。
「菊、ちょっと来るよろし。」
「耀さん…。でも私は…」
菊がチラリとアーサーに視線を送る。
気に入らない。
どうしてすぐ我に従わないある?
「菊、」
もう一度低い声で名前を呼べば、アーサーが小さく溜め息をついて【行けよ】と菊を促す。
そうすれば菊も、渋々といった感じで頷いた。
(どうしてコイツの言うことはすぐに聞くある…!?)
遂に我の怒りも限界に達し、菊の腕を掴めば強引に引っ張り歩きだした。
チラリと後ろを振り返れば我に向けられた澄んだ緑の瞳。
気に入らない…何もかも…。
我に向けられる恨みの籠った眼も、名残惜しそうにアイツを見る菊も。
でも、もうそんなの関係ねぇあるよ。
菊はもう、我の所有物―モノ―ある。
誰にも、渡すものか…
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