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菊が耀に連れて行かれてからもうだいぶ経っている。
会議はもうすぐ始まるっていうのに、いっこうに帰ってくる気配がない。
嫌な予感がする…。
何が、とかはよく分からないが、何かが引っ掛かる。
菊を連れ去った時のアイツの不敵な笑み…。
何故だろう、落ち着かない…
「おーいアーサー!こんな所で何やってるんだい?」
「あぁ、アルか…って!お前堂々と遅刻すんなよ!!」
「何だよー、君だって今こんな所にいるんだから遅刻だろ?」
「っな…!お、俺はいいんだよ!!」
アルが珍しく正論を言ってくるから、ちょっと面喰ってしまい、言葉が詰まる。
確かに、会議は五分前に始まっているのだ。
「…仕方ねぇだろ…。菊がまだ帰ってこねぇから待ってんだよ…。」
そうだ、俺は菊を待っているんだ。
上司には悪いが、俺には会議よりも菊の方が大事だから、会議に遅れようが他の国から白い目で見られようが構わない。
「だから俺は、別に悪くn」
「菊は来ないぞ。」
「…は?」
アルの声音が突然低くなったことにビクリと肩が震える。
いやそれよりも…コイツは、何を言っているんだ?
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