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階段を上る途中、玄関からドンドンと音が聞こえてくる。あの怪物が叩いているのだろう。
お母さんは寝室のドアを閉めて、僕に部屋の奥のベッドの下に隠れてと言った。
嫌だ。怖い。お母さんと一緒じゃなきゃ嫌だ。
「いいから早く!」
僕はその声に驚いて泣きそうになった。でも泣いたらもっと怒られるだろう。
我慢してベッドの下に隠れた。
「お母さんも早く!」
お母さんはしゃがんで僕の顔を見た。
「お母さんは怪物をやっつけてくるから。絶対にここに隠れてるんだよ」
そう僕に言い聞かすと、お母さんの足しか見えなくなった。
「泣いちゃダメだよ。男の子なんだから……」
部屋のドアが閉まった。直後に下の方からガラスの割れる音が聞こえてきた。
あの怪物が家の中に入ってきたんだ。
僕は不安になってベッドの下から出て、部屋のドアを開けた。下からは何の音も聞こえてこない。
音を立てないようにゆっくり階段を降りようとしたら、下から大きな音が何度もした。
お母さん!
僕は足音が出る事なんて忘れて全速力で階段を降りた。
お母さん!
音は台所から聞こえてくる。あそこで戦ってるのか。
お母……さん。
そこで目に入ってきた光景は信じられないものだった。
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