始まり

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実際は地上に落とされ、見知らぬ世界に一人きりだ 怖くて恐ろしい 何が起こるかわからない この狭い植物の中で幾度死ぬのか考えたくもない 私は今、煉獄にいるのだ 空から見ていた地上は青くてきれいだった いつかは、あそこに行ってみたいとさえ思っていた だが、今は違う 咎人として、この地に堕ちた私には全てが恐ろしかった 月では姫として育てられた 月での暮らしは何も不自由のない生活であった しかし、この地上で私には何の救いもない ましてや、恐ろしい怪物にでもあってしまったならば 私は、どのような恐怖と痛みの中で死ぬのだろう 私はひっそりと竹の中で誰かが私を拾ってくれるのを待った 数週間待っても誰も来ない、数ヶ月経っても誰も来ない そして、数年たったある日私は竹取りをしていたお爺さんに出会った
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