白い空間 あたしときみ

2/3
前へ
/33ページ
次へ
「…少年…」 「は…?」 「あっ、いえ…何でも」 彼、だった。 教室から見ていたよりもずっと背が高くて、色白で、整った顔立ち。細身なのは当たっていたけど、幼さはなかった。黒髪がなびく。 「あんた、そこの生徒だろ?」 人差し指を、あたしがさっきまでけだるく古典を受けていた学校に向けた。あたしが答える間もなく彼は話を続けた。 「さっきこっち見てただろ」 「えっ…」 「俺は一週間くらい前から見付けてたけどね、一人だけ仏頂面で外見てたから」 そう言って彼は柵にもたれ笑っていた。背景に青空。 「あっあたしそんなに目立ってた!?」 「うん、一人ぼけっとしてんの。何で先生気付かないんだろって思うくらい」 驚きと、恥ずかしさで、体温が急上昇した気がする。 「で、何しに来たの?」 急に問い掛けられて戸惑ったけど、彼はあたしの答えを待っていた。 「気に、なったから…何してるんだろーって…」 それを聞くと突然彼は吹き出した。驚いて彼の顔を見なおすと、大笑いしていた。 「自殺するかも、って?」 「そっ…そんなんじゃ…!」 「別に、何も」 「え?」 「別に何もしてないよ、暇だから来てるだけ」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加