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そう言って、また柵越しの外を見る。つられてあたしも彼の視線を追った。
馴染みの街が広がっている。
「ねぇ」
あたしが声をかけると、彼はあたしに視線を戻した。
「また、来ていい?」
「授業サボリに?」
「ぅ……」
「嘘。いいよ、いつでも、大抵ここにいるから」
そう、笑ってくれた。
あたしの視界が一転して、世界が輝いた気がする。不思議だった。体の奥底から、喜びが込み上げるようで。
「あたし、空っていうの!」
「俺は大地だよ」
ふわ、ふわ
はずむ足取りで、あたしは学校へ戻った。頬の緩みが戻らない。
大地
なんだか不思議な気分のまま、あたしは一日を終えた。
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