白い空間 あたしときみ

3/3
前へ
/33ページ
次へ
そう言って、また柵越しの外を見る。つられてあたしも彼の視線を追った。 馴染みの街が広がっている。 「ねぇ」 あたしが声をかけると、彼はあたしに視線を戻した。 「また、来ていい?」 「授業サボリに?」 「ぅ……」 「嘘。いいよ、いつでも、大抵ここにいるから」 そう、笑ってくれた。 あたしの視界が一転して、世界が輝いた気がする。不思議だった。体の奥底から、喜びが込み上げるようで。 「あたし、空っていうの!」 「俺は大地だよ」 ふわ、ふわ はずむ足取りで、あたしは学校へ戻った。頬の緩みが戻らない。 大地 なんだか不思議な気分のまま、あたしは一日を終えた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加