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遠くなる意識…――
――…
いつの間にか視界は住宅街を見下ろすような光景が広がっていた。
(…何処?身体、軽いって浮いてる??)
カツカツカッ…
何処からかヒールで駆ける音が聞こえて来た。
バンッ!!
ガインッ!
「きゃぁぁぁぁ!!」
……ドシャッ…
とっさに音のした方に目をやるとアパートの6階部分の裏口の扉が開いていて、安全のための鉄柵が無い。
そのまま視線を下に落とす。
叫び声の主が赤い水溜まりに横たわっている…
長いブロンドの髪は赤い水溜まりの中に散って、毛先の色を変えていた。
脚は変な方向に曲がっており、青い目は何処かを見つめ見開かれたままだ。
動かない…。
(死んでる…。)
視界の隅に何か動いた気がした。
左目にはコートの裾が見え…
(…左…って…あ、れ?)
身体が重くなる。
落ちてゆく身体はアパートの窓ガラスに写る。
自分の顔には“見る”のに必要なの眼が二つ…
片方は深緑、もう片方は…
全てを見透かす金色に孔雀の尾羽の紋様の入った…
大天使の眼『ミカエルの瞳』
視線を地面に戻すと目の前は真っ暗になった…――
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