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キースは目を丸くして彼女を見ると目が合った。
その目は生気が感じられない。
彼女は再び首をコキッと鳴らす。
二人の横をルーシーはスタスタと通り過ぎるとジルバを助け起こして、奥へと消えて行った。
「…?」
(い、いきなりなんだ??…復讐なのに花をやってくれだ??)
奥から声が聞こえる。おそらくジルバと共にニュースでも見ているなであろう…。
「…あの男…に…黄色い薔薇…を…」
<…未明…で死体が発見…ました…被害者は…>
アナウンサーが淡々と原稿を読み上げているのがキースの耳にとぎれとぎれで入ってきた時だった。
「あぁ…あぁ…いやぁぁぁ!!」
急に目の前の女性はしゃがみ込んで絶叫した。
キースは椅子から立ち上がりカウンターから身を乗り出して彼女を追った。
しかし
「…消え…た…?」
キースの目の前から煙のように跡形もなく消えていた。
絶叫に驚いたようでばたばたと奥からルーシーとジルバが駆け寄る。
「ちょっと、今の何よ!女の子はどこ行ったのよ!?」
「消えちまった、煙みたいに」
「ありえない。非現実的だよ、店長」
「消えちまったもんはしゃぁねぇよ。…あのお嬢さんの依頼…気になる…受けてやろうじゃねぇか」
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