prologue.

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  くぁぁ、と大欠伸(あくび)をする男が一人店の中のレジの横に頬杖をついて座っている。 その男は金よりベージュがかった色のくせ毛を持っていて、気怠そうな垂れ目に顎には少し髭を生やしている。 何より目立つのはハート型の赤いレンズの入った片眼鏡(モノクル)…。 この男こそ骨董屋“PAPILLON”の店主、キース・ブライドである。 「…今日も平和…暇過ぎる…」 出入口に向かって一言呟き煙草をふかす。 店の隅の方に置いてあるアンティークの振り子時計が規則正しい音をしんと静まり返る店内に響かせる。 するとショーウインドーに人が歩いているのが見えた。 カランカラン 来客を知らせるベルが鳴る。 キースは煙草を消し、その客人に向かって、 「…いらっしゃい、じいちゃん」 ニコッと老人に笑い掛けた。
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