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メモ欄のところをね、ペラペラめくっていたら、汚い小さな字で一つの文が綴られていました。
スパイスが足りないのです。平凡な毎日が続いています。これはこれで良いのですが、新鮮さが無くて、何を楽しめばいいのか分からないのです。最近は何故か8時半に目が覚めます。耳鳴りもよく起きます。疲れているのでしょうか、疲れることなど何もしていないのに。退屈が疲れるのでしょうか。我が儘ですね。
いつ頃書いたものか、思い出すことも出来ません。ただ、私、それを見つけた時、なぜだか自分が愛しくなって抱き締めてあげたくなったんです。自分の両腕で思わずぎゅっとしてしまいました。あぁ、ごめんね、その頃の私、そんなことを呟きながら。
あら、もうこんな時間。少しお喋り過ぎましたね、喉がカラカラです。先程も言いましたように、私、今日は寝不足なんでそろそろ家に帰ることにします。そうですね、あなたも終電があるうちに。今日はお話を聞いていただき、ありがとうございました。この赤い手帳にもいっぱい様々なことを書き込んで、また来年、この場所で、あなたにお話出来たらいいなぁ、なんて。
この手帳に一番最初に書き込んだ内容、ですか。ほら、見てください。ここにハートマークがあるでしょう?今週末のデートの予定のマークです。彼は涙ぼくろは無いけれど、優しい誠実な方です。それでは、また。
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