-序章-

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ある一室の付近まで来た所で、扉の前に誰か立っているのが見えた。 長い髪の毛をそのまま流し、片目に傷を持った少年。 一騎と同じ服を着ているが、Alvisの制服のようだ。 「総士…」 一騎が少年の名を呼んだ。 この少年が、皆城総士。 「概ね状況は理解している。この男が現れた時、空間に歪みが生じたのをソロモンが記録している。それにより偽装障壁にほころびが生まれ、フェストゥムが竜宮島を見付けるきっかけとなった…と言う所だろうな。」 アクセルは驚いた。 皆城総士は見た通りの少年だが、その洞察力は見た目を裏切る程のものである。 だが、そうやって相手を推し量っていた所に、その当人から声が掛かってきた。 「あんたがフェストゥムの仲間じゃないのは見れば分かる。あんたは普通の人間だからな。だが、平穏無事だったこの竜宮島に危険を及ぼした責任は取ってもらう。」 「…総士…?」 幼なじみの毅然とした態度に何処か違和感を覚えた一騎は、総士の横顔を不安げに見詰めていた。
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