スピカ

2/7
前へ
/7ページ
次へ
ねえ、スピカ。 「なーに?」 そこは寒いだろ? もう少しだけそばにおいで。 スピカは寒がりのくせして、いつも薄着で夜空を眺めていた。僕は彼女が風邪をひきやすいことをよく知っている。 だからいつもこうして、スピカがどうしても星を眺めたいと言う時、僕は彼女の肩をしっかり抱いて、二人で白い息を吐きながらいつまでも夜空を眺めていた。眠ることさえも忘れて。 スピカはどうして星を眺めるのが好きなんだ? 以前にこのようなことを彼女に聞いたことがある。その時スピカは、どうしてそんな質問をするの? とても言いたげな顔をして僕の顔を見ていた。 「美しいから」、そう言った。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加