スピカ

4/7
前へ
/7ページ
次へ
分からなくてもいいんだよ、と僕は言う。分からなくてもいい。ただ僕は君に感謝したいだけだから、と。 「どうして感謝するの?」 夜の闇が怖くないから。一人じゃないから。スピカが繋いだ手を握り返してくれるから。 「そう、私のことがとても好きなのね?」 好きだ、とは言わない。言葉にしなくたって、伝わることだってある。 「寒い寒い夜」、スピカは白い息を吐きながら、夜空の星を数え始めた。そんなの出来るはずがない。だって星達は、数え切れないほどに夜空を埋め尽くしている。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加