スピカ

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僕は胸が苦しくなった。彼女のそんな言葉が聞けないと、僕は安心することが出来ないのだ。僕はそのことに胸が苦しくなった。 「暖かいね」、僕の胸に顔をうずめたまま、スピカは言った。 僕はもう一度夜空を眺めてみる。たくさんの星々。本当に美しい。こんなにも美しいのに、僕はこの美しさに胸を打たれない。何故だろう? スピカを守ると決めた日、あの日、僕の心は強くなれた。スピカの全てが僕を動かしていた。 いつからだろう? スピカが夜空を眺め出したのは。 「暖かいね」、僕もそう言って、キスをした。 目を閉じて、そしてまた開けるのが怖かった。夜の闇は怖い。それでも僕は、陽がのぼってほしくない。
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