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顔を青ざめさせる少年と、ふんと鼻を鳴らす少女。
しばらく顔から血の気が引いていた少年が、恐る恐るといった風に少女に声をかけた。
「あの……何故に、あんなことを?」
「あんなこと、とは?」
「いや、さっきの」
「ああ、簡単だ。君に出番を取られて悔しかったのでな。つい」
言いながら、少女はようやく女性が呆気に取られていることに気がついた。
「ふむ、怪我はありませんか?」
「えっ?あ、はい……あの、助けてくれてありがとう………」
「いえ、お気になさらず。まあ、私たちがあなたとすれ違って良かったですね。すれ違っていなければ、恐らくあなたはこの男に殺されてたでしょうし」
女性は混乱の中で聞きながら、違和感を感じる。
しかしそれが形を成す前に、少年が口を開いた。
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