序章・クローゼットに潜むストーカー

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「今日は家には帰らないでください」 その言葉を聞いた瞬間、女性の中で何かが爆発した。 それは今まで感じていたストーカーに対する恐怖や、怠惰な警察に対する憤りなど彼女の中に溜まっていた鬱憤。 女性は感情のままに、少年に怒鳴り散らした。 「あんたに何がわかるのよ!!毎日毎日無言電話に勝手な模様替えまでされて!!これ以上私に手を出さないで!!」 「えっ、ちょっと!」 怒鳴るだけ怒鳴って、自宅に走っていく女性。 少年が呼び止める声も無視され、女性は彼らの前から居なくなってしまった。 それまで傍観を決め込んでいた少女が少年に話しかける。 「どうする?あの人、危ないのだろう?」 「うーん、そうなんだよなぁ…………仕方ない、行くか。放っとくわけにもいかないしな」 二人は会話を打ち切ると、そのまま女性が去っていった方向へ走り出したのであった。
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