13日の金曜日

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うちの玄関には大きな鏡がドアを向き合う形で設置されている。背を向けて顔をほっと息をついて顔をあげると、鏡にはさっきの二匹よりも大きな透明な奴がうっすらドアを開けて覗き込んでいる。 外が透けて見える中に浮かぶ白くて黒い点の並ぶ眼球。気持ちが悪かった。帰って欲しくて、泣きそうになるのを必死に抑えて姉を呼んだ。だが姉は、ため息をついて「お父さんが帰ってくるまで粘るしかないね」と意味の分からないことを言う。 ウチは父親とはあまり仲がいいとは言えない。だからなんでそういうのか分からなかった。 「お父さんは朝日を背負って帰ってくるんだよ」 神話的なものかもしれない。そんな暗示をかけられた気がした。 ちょうど、そんなところで父親が帰ってきた。運が良いといえる。さっきまでいた透明の人型は自然と消えていた。
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