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ごくありきたりな学校の教室。
暖かくも寒くもない。
窓がガタガタと震えていて、セーターを着込んでいたからたぶん冬で少し強めの凩が吹いてるんだろうと思ってた。
だが良く見ると外は水に包まれていて、窓ガラスの隙間から中に進水して来ていた。
「早く水が引くといいね」
「此処なら大丈夫だよ」
友達だろう子達は口々にキャッキャッと怖がる風も無く言った。水の進水は足首まで来てるのにだ。
ガラス越しに魚が泳ぐのが見える。水族館にでもいる気分にされる。でも、ガラスをツンツンと突く魚を見て嫌な予感がした。
―――ピシッ
ひびの入る音がどこかでする。気になって窓を見渡せば、無数の魚がガラスを叩く。
ガラスは音を立てて砕け飛んだ。水圧に任せて散る破片は数人に突き刺さり、また別に流れ込んだ水に脚を取られ溺れ沈む子達もいた。
自分は運よく水が一杯なって出口がわりにもなった窓から近くにいた友達を連れて抜け出せた。
上がった先はダムのような下水処理場みたいな場所。
頭の上には足場の役割をしているだろう細い木の板。渾身の力ではい上がって友達を引き上げようと振り向いた。
―連れていた友達は水の中で眠っていた。
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