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今でも思い出す悲しい夢。
空高く聳えるビル。
天候は晴れ。少し雲が出ていたかもしれない。
音も人影もない不思議な空間だった。自分は裸足。熱くもないアスファルトを歩いていく。下を向いていたかもしれない。前を向いたかもしれない。
でも空が気になって上を向いた。
視界はテレビの画面を見るようにスローで白い何かがビルの方に向かっていくのが見えた。飛行機だと気づいたのは、瓦礫と人が降ってきたのが見えた時だ。
自分は真下に立っていた。
降る瓦礫も人も当たらない。
"夢だから"と頭の中で分かっていたのかもしれない。ノストラダムスの予言も近かったし、その影響だろう。そう腹の中で冷静に見ている自分にうんざりしてた。
でも、自分に何の影響もなかった瓦礫や降る人が触れてきたら、人はこんなにも頭が真っ白になるんだと思った。
血まみれで、あらぬ方向に曲がった各部の骨。その手を必死に伸ばして脚を掴んできた。
「痛いよ」
「死にたくない」
「助けて」
耳に入る声は痛々しくて涙が出た。周りを見る度に降り懸かる瓦礫に残っていた灯を消されていく人達。
悲しくてうずくまるしか出来なかった。
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