第壱章 ブルーオキザリス-約束-

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少女の正式名称は NO.029 [Blue Oxalis]。 愛称・蒼爵(そうしゃく)。 稀代の女人形師・ネモフィラの作った人形。 チョーカーに絡ませてある造花は識別コード同様の青いかたばみ。 蒼を基調(この場合は髪や目の色のことを言う)とした人形であり、家事能力に長けている。 性格は穏和。   「蒼爵っ!」   「は~いっ。ただいま参りますっ」   彼女が貰われていったのは売れない画家の元。 何故、ネモフィラがそんなところに蒼爵を授けたのかは蒼爵自身にも分からない… ただ、蒼爵はこの画家のことを一目で気に入っていた。主人がいる部屋の扉を開き、中に入ればアトリエ独特の香りが漂う。 ブロンドの長い髪を無造作に一つにまとめ、頬に色とりどりの絵の具がべっとり。ベージュのスモックにもまた、様々な色。混ざってどうしようもない色合いになってしまっているところもある。 「マスター。後でお着替えしてくださいね。はい、新しい仕事着です。お茶もお持ちしましたよ」 いそいそと準備してきた物を並べ、主人から着ていたスモックを取り上げる。 「蒼爵、ちょっと強引じゃないかな?」 「こうでもしないとマスター動いてくれませんよね?」
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