序 -人形-

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お父様が死んだ。 お母様を模した人形とともに…   人形を愛するということを教えてくださったお父様。 人形に心があるということを教えてくださったお父様。   それなのに…   何故、そのような真似を… 私の目に映ったその光景は人形の心を無視しているもののようだった。   このとき私は誓った。 私が創る人形(子ども)たちには絶対幸せが訪れるようにと… 人形(子ども)たちを創る作業… 温かな羊水の中で漂うように… おおよその形を創って漂わせる…   羊水を包む膜が弾ける。   「生まれた…」   「あっ…うああっ…あうっ…」   言葉もままならない幼い少女の人形… 抱き上げるとそのままタオルでくるみ、連れていく。   「貴女のご主人様はねぇ…ちょっと変わった方だけど…きっと大事にしてくださるわ」   そして、最後の仕上げ…   かしゃん…と音を立ててチョーカーを嵌める。 このチョーカーには私の人形が不当な扱いを受けた場合にのみに発動する仕掛けである。 ちなみに、これが発動して帰ってきた人形は18体を超える…   「いってらっしゃい…あたしの可愛い娘…」   こうして私は人形(子ども)を手放す。
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