Castel vania Memorry🌃

死から生へ…

　
～ワラキア地方…貧しい者の集まる貧民街…ここに母とその息子二人だけで生活をしている家庭があった。

息子は10歳、名は“アドリアン”女の子と間違える程に華奢で、弱々しい身体つき、それもそのはずだった。アドリアンは重たい病に冒されていた。“呪いの病”現代で言う法定伝染病…当時は不治の病としてこのように呼ばれていた。呪いの病の前には神の祈りさえ届かない。

家とは呼べない程にボロボロの納屋で清潔感があるとは言えないベットに寝たきりのアドリアン。それに付きっきりの看病をする母“シェール”。可愛い息子の為に懸命に看病をするのは母として当たり前だった。

ベットで寝たきりの息子に母シェールは愛情ある笑顔で声をかける。

「今日の気分はどう？アドリアン」

アドリアンはゆっくり母シェールに首を向ける。

「…いつもと変わらないよ母さん」

シェールはにっこり微笑み、アドリアンの額に手を当てる。

「そうかしら？今日のほうが顔色がいいみたいよ」

アドリアンは微笑みかけるシェールをじっと見つめる。

「…母さん…」

シェールは呼びかけに笑顔で答える。

「何？アドリアン。何か食べる？」

アドリアンはそのままじっとブルーの瞳でシェールの微笑みを見つめて口を開いた。

「母さん…僕のことはほっておいていいよ。どうせ治らないんだから」