Castel vania Memorry🌃

死から生へ…

弱々しく言うアドリアンの言葉にシェールは馬鹿馬鹿しいというようにクスクス笑う。

「フフフ…何を言ってるの？可笑しなことを言う子」

アドリアンは自分の言ったことを曲げず言う。

「わかるんだ…段々自分の死に向かって行くのが…」

真顔で弱々しく語るアドリアンに、シェールは笑顔でシーツをアドリアンの肩までかかるように優しくそっと被せる。

「はいはい、怖い夢でも見たのね？大丈夫よ。貴方は何も心配することはないのだから」

シェールはアドリアンの頬に優しく口付けをする。

「じゃ、ゆっくり休んで早く治してしまいなさい」

～その後シェールは外に出掛けて言った。貧しい家でお金も無い…でも母シェールは息子の知らない所で少なからずお金を集めて来ている。

父親は息子と妻を養う為に盗みに走り、捕らえられて処刑された。父親は悪人ではあったが、それもお金の無い妻と息子を何とか食わしてやりたいという愛故に走った悪行であった。

アドリアンはガラスの無い窓の外を眺める。丁度真昼。快晴で眩しい太陽の光に目を細める。

アドリアンは寝たきりの姿勢で外の風景を眺めることしか出来ることはなかった。環境の変わる外の風景を眺めることで自分がまだ生きていることを確認するのである…。