Castel vania Memorry🌃

死から生へ…

シェールがそう言っても、アドリアンは浮かない顔をしていた。

アドリアンはしばらく黙り、小さく頷いた。

「うん…ありがとう母さん」

アドリアンは口に出さないが、自分の冒されている病が医者だろうとどうにもならないことがわかっていた。アドリアンを蝕む呪いの病の症状は徐々に進行し、身体からじわじわと赤い斑点が目立つようになっていた…。　

～次の日、シェールは街の医者の元を訪ねた。だが…。

「な、何故なのです！？ウチの子が診れないって…」

驚愕の表情でショックを受けるシェール。

片眼鏡をした老医者はシェールの身なりをまじまじと見て軽蔑の眼差しを飛ばす。

「あんた、貧民街のモンだろ？そんな社会のゴミを面倒見るお人好しなんかいねぇよ」

これが貧民街の人間の扱いなのである。

医者は更にため息をついて言った。

「いつだってそうだ。伝染病はいつも貧民街から流行る。そんな呪われたような地に行くヤツいるわきゃないだろ」

シェールは必死に医者の両腕にしがみついて訴える。

「そんなこと言わずにお願いします！！ウチの子を助けて下さい！！」

力強くしがみついたシェールを医者は払い退けた。　
「さ、触るな！！」

まるで害虫でも払い退けるかのようにシェールを押し飛ばした。シェールは勢いで床に倒れた。

「ああ！！」

医者は床に伏せるシェールに罵声を飛ばす。

「触るんじゃねぇ！！呪いの病が移っちまうじゃねぇか！！」

医者はシェールを見下すように指差す。

「お前のようなヤツが困るんだよ！！貧民街のヤツは貧民街の人間らしく一歩も貧民街から来るんじゃねぇよ！！病原菌を撒き散らすだろうが！！」

シェールは床に手をついたまま伏せ、医者の言葉にうつ向いて黙っているだけだった。何も言い返すことも出来なかった…。