Castel vania Memorry🌃

死から生へ…

その後他の医者を探して街をさ迷い歩くシェール。しかし、貧民街から出て来たというだけで誰も相手にしてくれない。

疲労と絶望感にうつ向きながらフラフラ街をさ迷うシェール。

気が付くとシェールは街外れの教会の前に立っていた。自然と操られるように教会の扉を開けるシェール。もう人に頼れないとなれば…そう思ったのだろう。

小さな教会ではあるが、綺麗で手入れが行き届いた所である。ステンドグラスから射し込む太陽の光は、正面の掲げられている十字架に張り付けられたキリストと、その下のマリアの像を照らしていた。まるで後光のように…。

シェールは惹かれるように正面のキリストとマリアの像の傍へ歩く。今はシェール以外に他に人はいない。

手を握り合わせるシェール。

「…神よ…もう頼るのは貴方様しかいません…どうか息子を…」

祈りながら涙が溢れるシェール。

「あの子…あの子が……何かしましたでしょうか？…何故あの子が……」

涙を流しながら膝まづく。

「神よ…お願いです…どうかあの子…息子を助けて下さい…私はどうなっても構いません…どうかあの子だけは…」

シェールは祈った。それしか出来なかった。自分では我が子を助けられない不甲斐なさと、貧民街住というだけで相手にしてくれない人々の冷酷さに絶望したのだった。

その時だった。長い時間膝まづいて祈り続けるシェールの背後から「コツン…コツン」と足音が聞こえる。足音はシェールの背後に近寄る。