十両小判

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昔は小判だの大判だのありまして、 一枚で何年も遊んで暮らせるというものでございます。 といいますのも、一両あれば一年遊んで暮らせた。だの 十両盗むと首がとんだなんて言われておりました。 「おい、聞いたかい」 「なにをだい」 「小判に多少でも縁のある俺たちには大きい話だ」 「あ、小判が十両ってやつか」 「お、きいたかい。小判一枚が十両に化けるって。いいはなしだね~」 「そうそう、だから俺も小判を調べてもらったんだが全部はずれだそうだ」 「どこで調べてもらえんだい」 「徳のやろうが見分け方をこころえているらしい」 「そうか、じゃあいってくらぁ」 「おいおい、小判をもっていけよ」 「ああ、そうか」 って家に帰って小判を取って徳さんところへいってきます 「徳のやろうはいるか~い」 「はい、いますよ~」 「ちょっと小判をみてもらいたいんだが」 「あ、またですか」 「おう、頼むぜ」 って小判をぱらぱらっとばらまくように徳さんにわたす。 徳さんはそれを集めるんですが、一枚をふところへ 「おい、なにすんだよ」 「いや、これは手数料で」 この徳さん、名前の通りといいますか、得なことしか好まないようで、 ただ、道理は通ってるんで反論はできません。 「う~ん、全部はずれかな~」 「そうか」 「まぁ、きをおとさずに」 客はがっかりして帰ってゆきます。 客がいったかと思うと 徳さん、腰を上げてどこかへ出かけるようで、 ただ、納得いかないのがさっきのお客さん。本当にわかるのかと考えてると 徳さんが家からでてきたんでなんかあると思ってあとをつけていきます。 徳さんがいったのは奉行所、いまの区役所と警察署がまざったようなところでございます。 ここで小判を交換するようで、 徳さん、さっきとった小判をふところからだして、 「これ、交換願います」 っていうと、 「よし、わかった」 ってんで門番が中へはいる。 しばらくして門番がふろしきをもってでてきます。 そのふろしきをもらうと徳さんはさっさと家に帰ります。 客のほうは一部始終みていたんでかんづきます。 徳さんが帰ったあとに 「おい、どういうことだ」 って徳さんにどなりつけます。 「あ、ばれちゃいましたか」 徳さんはばかにようきです。 「このやろう」 ってお客さんが拳を上げる 次へ
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