十両小判

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ところがお客さん、なにをおもったか、拳をおろします。 「なぁ、お前いつもああやってあたりの小判を交換してんのか」 「ええ、まぁ」 お客さん、にやっと笑うと、 「みんなにはいわないから、見分け方を教えてくれよ」 「いやです」 「じゃあみんなにいうぞ」 「なるほど」 そういうと徳さん、考えこんでしまいます。 お客さんが見切りをつけて、 「一両やるから」 というと徳さんは顔をあげて 「いいでしょう」 即答でございます。 「これ2つもってください」 とふろしきから二枚の小判を選んで徳さんにわたします。 「こうかい」 「ちがうでしょ」 お客さん、しばらく考えますがちがいがわからない。 「なにがちがうんだい」 っていわれると、徳さんがまってましたといわんばかりに 「なんせじゅうりょう小判だ、重さがちがう」
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