ラクトガール

12/75
前へ
/75ページ
次へ
先日の言葉通り、十夜はよくこの図書館に遊びに来るようになった。しかし……  この図書館は、レミィがわたしの為に作ってくれた場所、ここにある本は彼女がわたしの為に集めてくれた本なのだ。 だから、十夜がここにある本を読みたいと言っても、人間に魔術書の類の本を読めるはずも無く、十夜は挿し絵の 入った簡単な本をパラパラと見ているか、もしくは、わたしの読書姿を、わたしの横で眺めている程度しか出来なかった。 「………ねぇ…十夜……………」  わたしは、十夜が運んできてくれたお茶を一口飲みながら、隣に話しかけた  隣では、椅子に座った十夜が、時々手にした本をパラパラめくりながら、わたしを見ていた 「はい?」 「……あなた……楽しい………?」 「…何がですか、パチュリー様?」  質問の意味をいまいち理解していないらしい……… 「…………だから、わたしが本を読んでいる所をじーっと眺めてて楽しいのかって訊いてるのよ?」  自分の質問に対して、的を得た解が帰ってこない事に少々苛立ちながらも、噛み砕いて同じ質問をしてみた 「楽しいですよ」  間髪入れずに答えが返ってきた……しかも簡略に…… 「わたしみたいな魔女の横顔を見て、楽しいの?」  少し呆れながら、皮肉混じりに訊いてみた 「えっ、パチュリー様って魔女だったんですか?」  ………わたしを人間だとでも思っていたのか……
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加