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「………僕……小さい頃から、人の心が読めるんです………
でも、相手の目を見ないと分からないんですけどね……………
お父さんやお母さんの事は、ほとんど覚えてないけど……多分…それで気味が悪くて、僕を捨てたんでしょう、ね……想像、ですけど……」
十夜は、そこまで言うと静かに泣き出してしまった………
「……レミィや咲夜は、このことを知ってるの?」
十夜は首を縦に振る
「……はい………ここに来たときに話してます……で、むやみに心を読まないって事で、ここに住むことになったんです……
とは言っても自分の気持ちとは関係なく相手の心が聞こえてきちゃうんですけどね」
わたしは、そんな十夜を黙って見ていることしか出来なかった……
わたしには、親の記憶など無い……
もしかしたら、わたしのような存在には、親など存在しないのかも知れないけど……だから、十夜の気持ちは分からなかった……
恐らく、十夜が両親の事を覚えていないのは本当の事だろう。
確かに、普通の人間がそんな力を持っていれば気味悪がられ、
疎まれるのは明白である。恐らく、両親に捨てられた精神的なショックで両親の記憶が抜け落ちてしまったのだろう。
しばらく、時間が経ち、十夜も少しずつ落ち着きを取り戻した頃
わたしは、口を開いた
「ねぇ、十夜?……さっきわたしが思った、『いらないんだけど』っていうのは、別に迷惑だからそう言ったんじゃないの……
ただ、わたしは、この通り、別に服装に興味が無いだけなのよ………四六時中この図書館にいるしね……それに、知識として知ってるだけだけど、
リボンって確か、人間の女性が自分を着飾るために使う物でしょう……?魔女であるわたしには、縁がない物だと思っただけ……
大丈夫…十夜の気持ちはすごく嬉しいから………」
十夜は、その言葉を聞いて、少しだけ顔を上げた。目が赤い。当たり前だ、泣いていたのだから
「じゃあ……そのリボン、受け取ってもらえますか…パチュリー様?」
わたしは、首を縦に振った………
おかしな話ね………わたしが人間の子供を慰めるなんて………
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