ラクトガール

17/75
前へ
/75ページ
次へ
「……ついでだから今、付けて貰おうかしらね……わたしはリボンの付け方なんか知らないし………」 「本当ですか…?」 「……嘘かどうかは、あなたが分かってるはずでしょ?…」 「………はい」  十夜は、目尻に少しだけ残っていた涙を拭い去ると、わたしの手の上にあるリボンを受け取ると、わたしの目を見つめてきた 「…………どうしたの?」 「……あの、全部、付けてみてもいいですか……?」 「……任せるわ」  十夜は嬉しそうにわたしの服や、腰までもある長い髪、上着の首元や裾まで、様々な色のリボンを付けてくれた…… なんだか、人間の少女が遊ぶという、『着せ替え人形』になった気分だった。 でも……悪い気分では無かった……  十数分後………わたしは見事にリボンだらけになっていた…… 「さすがに……ちょっと付けすぎましたね……少し取りますか、パチュリー様?」 「………いいえ、このままでいいわ。……折角、十夜がわたしにくれた物だし……」  わたしはそう言って椅子から立ち上がり、今では埃にまみれてしまっている鏡の前に立ってみた 「………………………………」  なんとも、形容しがたい光景だった 体中にリボンがくっついている。 赤・青・黄・紫・白・緑・ピンク・・・etc (………こんなに付いてたのか………) 「……あの~、パチュリー様?……やっぱり、少し外しますか?」 「………いいえ、いいわ、このままで。ありがたくもらっておくわよ………ありがとう、十夜……」  自分の姿に少し驚いたが、やはり嫌な感じではなかった  それから、十夜は、すでに冷めてしまっていた自分のお茶をこくんっ、と飲んで『遅くなると咲夜が怒り出すから帰ります』と言って図書館を出ていった。 ……もちろん、明日も来ると言い残して……
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加