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「……ついでだから今、付けて貰おうかしらね……わたしはリボンの付け方なんか知らないし………」
「本当ですか…?」
「……嘘かどうかは、あなたが分かってるはずでしょ?…」
「………はい」
十夜は、目尻に少しだけ残っていた涙を拭い去ると、わたしの手の上にあるリボンを受け取ると、わたしの目を見つめてきた
「…………どうしたの?」
「……あの、全部、付けてみてもいいですか……?」
「……任せるわ」
十夜は嬉しそうにわたしの服や、腰までもある長い髪、上着の首元や裾まで、様々な色のリボンを付けてくれた……
なんだか、人間の少女が遊ぶという、『着せ替え人形』になった気分だった。
でも……悪い気分では無かった……
十数分後………わたしは見事にリボンだらけになっていた……
「さすがに……ちょっと付けすぎましたね……少し取りますか、パチュリー様?」
「………いいえ、このままでいいわ。……折角、十夜がわたしにくれた物だし……」
わたしはそう言って椅子から立ち上がり、今では埃にまみれてしまっている鏡の前に立ってみた
「………………………………」
なんとも、形容しがたい光景だった
体中にリボンがくっついている。
赤・青・黄・紫・白・緑・ピンク・・・etc
(………こんなに付いてたのか………)
「……あの~、パチュリー様?……やっぱり、少し外しますか?」
「………いいえ、いいわ、このままで。ありがたくもらっておくわよ………ありがとう、十夜……」
自分の姿に少し驚いたが、やはり嫌な感じではなかった
それから、十夜は、すでに冷めてしまっていた自分のお茶をこくんっ、と飲んで『遅くなると咲夜が怒り出すから帰ります』と言って図書館を出ていった。
……もちろん、明日も来ると言い残して……
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