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「これっ、一体何処で……?」
「もちろん、あなたの為に幻想郷中を
駆けめぐったのよ、感謝しなさい?」
レミィが赤い舌をぺろりと出して小悪魔っぽく微笑んだ。いや、本当に魔族なのだが……
「……なんてね………」
ふっ、と彼女の微笑みから悪戯っぽさが消え、彼女にしては珍しく、少しだけ複雑な表情になる
「……これ、この間拾ってきた人間の子供が捜して来ちゃったのよ。実は、最初から紅魔館にあったものなんだけど、
パチェと会う前に無くなっちゃってね。ほら、私は本に興味なんか無かったから……適当に扱ってたし。
……って、ちょっと、パチェ!そんな怖い顔で睨まないでよ」
わたしは気付かない内にレミィを睨んでいたようだ。と言うかそれは当然だろう。わたしのように本をこよなく愛する者にとって、
本を無下に扱われることは侮辱以外の何者でもない。だから、例え友人とはいえ、レミィのとった行動は許される筈がない
「だから、悪かったってば、私がこうして頭を下げるなんて滅多に無いわよ。だから、ね、結局見つかって、
こうしてパチェの手元に来たんだし……それで良しとしましょうよ」
確かに、彼女がこうして素直に謝罪する事はほとんど無い。それだけ、自分の非を認めている
ということなのだろう……仕方ない
「……分かったわよ……。こうしてわたしの手元にグリモワールが握られる日が来るなんて………いつかは来ると思ってたけど、まさか今日、叶うなんてね」
わたしはそう言って手の中に納められている分厚い本に頬を擦り寄せた。少しざらついた感触と、皮独特のヒヤリとした感覚が頬に伝わる。
本ばかり見ているわたしは、腕力が無く、少しばかり重かったが、それよりも喜びが大きかった
「…………………幸せそうね……パチェ……」
その言葉にわたしは、ハッと気付いて顔をレミィに向けた。彼女は少し困ったように眉を寄せながら、苦笑いを浮かべていた……
「…………っ、こほん。それで、この本は、十夜が捜してきてくれたのね?」
自分でも分かりやすすぎる位強引に話題を変えていた……少々、自己嫌悪に陥る
レミィも、くすくすと笑っていた。……恥ずかしい………
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