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「ありがとう…十夜」
いつものように隣で本を見ている十夜に向かってわたしはそう告げていた
翌朝、十夜は朝一番で図書館に来て昨日は来ることが出来ずにすみませんでした、と頭を下げてきた……
以前のわたしなら、『別に……』なんて突き放すように言っていた筈なのに……そうは、答えなかった……
十夜がわたしの側に居ることが、嫌では…ない。そう、思えるようになってきていた
だから、普段の、いや、今までのわたしであれば決して言わなかった言葉がついぽろりと口から滑り落ちる……
「いきなりどうしたんですか、パチュリー様」
十夜はきょとんとした顔でわたしの顔を見上げる
気付かないのだろうか……?今、わたしが手に持ち、読んでいる本は『グリモワール』……昨日あなたが見つけてくれた物なのに………
「……………?、あっ、その本!」
ようやく気が付いたようだ……
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