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「なんだー、パチュリー様、その本持ってたんですかー?」
はっ?持ってた?
「実は、昨日お屋敷の探検してたらそれと同じ本を見つけたんですよ。それで、パチュリー様にあげようと思って、
レミリア様にあげてもいいかって訊きに行ったんです。でも、その後、すごく眠くなって、部屋で寝て起きたら、その本無くなっちゃってたんですよ。
でも、パチュリー様が持ってたのなら、必要なかったですねー。ちょっと残念だな……せっかく、パチュリー様が喜んでくれると思ってたのに……」
この子……本当に気付いていないの…?
「………あのね、十夜………これ、あなたが捜してきてくれた物よ?」
その言葉に、十夜が「ふぇ」っと間抜けな声を出してわたしの顔を見た
「えっ、で、でも僕、昨日パチュリー様に会いに来てませんよね?なのに、なんでパチュリー様が僕の探してきた本を持って……えぇっ、なんで?」
どうやら、レミィは十夜が寝ている時にこっそり持ってきたんだろう………
「昨日の夜中に、レミィがわたしの所に持ってきてくれたのよ。きっと、寝ているあなたに気を使ってくれたんでしょうけど………」
「なんだ、そうだったんですか?じゃあ、それは僕の探してきた本なんですね?……良かった。……でも、折角だから僕が渡したかったのになー」
「大丈夫よ、その気持ちだけでもすごく嬉しかった。だから、ありがとうって言ったの。この本は、すごく貴重な本なの。わたしもずっと欲しかった本なのだから、ね」
そう言うと、十夜は嬉しそうに顔を綻ばせて、少し照れくさそうに顔を俯けた
十夜のそんな顔を見ているわたしも嬉しくなって、少しだけ口元を緩めた………
「パチュリー様、どうぞ。冷めないうちに飲んでくださいね」
咲夜がわたしの前にあるテーブルに暖かな紅茶を置く。わたしは、本を片手にカップに手を伸ばし、口に運ぶ。
鼻孔をくすぐる香りが心地良い。咲夜が淹れてくれるお茶はいつも美味しい……言葉にはしないけれども……
文句の付けようもない
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