76人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ぐっ、けほっ、けほっ……何これ!すごく苦い!」
一口飲んだ瞬間、わたしは噎せてしまった。普段飲んでいる紅茶とは味が違いすぎる。舌を刺すような強烈な苦み………レミィの反応が身に染みて良く分かったわ……
「えー、やっぱりパチュリー様も駄目ですかー?」
そう言って十夜は、自分のコップの中身をコクコクと飲んでいる。
「あなた……苦くないの?」
「はい、僕は砂糖を結構入れてますので」
「…………少し、あなたの方を飲ませてくれる?」
十夜は、はい、と自分のコップをわたしに渡してくれる
『コクッ』
一口飲んでみる
口に含んだ瞬間に広がる心地良い香り、適度な苦み、そしてその苦さを洗い流すような適度な甘味……
「…………美味しい……」
口から素直な感想が出た。
「でしょう?コーヒーは美味しいんです。なのに、レミリア様ったら、『私の口には合わないわ』って言ったんですよ?」
十夜は、不満をこぼしながらも、わたしが美味しいと言ったことに対して嬉しそうだった
「…でも、十夜、なんでさっきわたしに渡した方には砂糖を入れてくれなかったの?苦いのは分かってたんだから……」
「えっ、だって、咲夜が、『大人はコーヒーには砂糖は入れないでそのまま飲むものなのよ』って言ってたから……パチュリー様は僕より大人だから、それでいいのかなって思って…」
成程………咲夜の一言でわたしはこんな苦い物を飲む羽目になったのね…
…後で覚えておきなさいよ……術の一つでも喰らわせてあげるわ…
そんな暗い考えが頭をよぎる……わたしの顔を見ていた十夜が少し怯えた顔になったのが横目で見えた
「あのー、パチュリー様…………?」
その言葉で、わたしは我に返った。
「あの、笑った顔がなんというか、いつもと違って…怖いんですけど」
「……ああ、ごめん。ちょっとね、考え事をしていただけだから、気にしないで」
どうやら、咲夜の事を考えてる内に微笑していたらしい……
それで、十夜を怖がらせてしまったことは、反省するとしよう……
最初のコメントを投稿しよう!