ラクトガール

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「…やれやれ……」  わたしは軽くため息を吐くと、魔法の詠唱に入るため目を閉じて意識を集中させた。が、  …ズ、ズズ…  何かが、滑っているような音に気付き、目を開いて音がした方を向いてみる (……本雪崩……?)  そう思うや否や、目の前に積まれていた本が一気にわたしの上に降りかかってきた 「きゃあぁぁぁぁーー」  わたしは、為す術もなくその流れに飲み込まれていった。 本越しに、ドーンという、盛大に本の塔が崩れていく音が聞こえてきて、その後静かになった。 が、続いて図書館の扉を開く『バンッ!』という音が広大な空間に響く 「ここにいるの!」  聞き慣れている声が耳に届く。  この広大な空間に凛として響く声  メイド長の咲夜だった 「全く!勝手に出歩いては駄目だと何度も言っているでしょう!」  (誰かと、会話している…?)  誰と……?  ……少し疑問に思ったが、疑念はそこでとぎれた…… 苦しい………本が崩れて埃が舞ったせいで喘息が出てきたらしい……おまけに体の上に乗った本の量が量だ。 胸が圧迫されて息が出来ない…… 「咲夜……咲夜!………」  最後の力で声を振り絞った 「?……パチュリー様……何処ですか?」  わたしは、本の間からかろうじて出ていた右手をひらひらさせて、助けを求めた 「あらあら……大丈夫ですか?」  咲夜がそれを見つけ、わたしの上から本をどかして引っ張り出してくれた。 胸にあった圧迫感から解放され、大きく息を吸い込んだが、喘息の発作も起きていたため、途中で大きく噎ぶ羽目になってしまった。 咲夜が背中を押さえて呼吸を手伝ってくれたので、大事には至らずに済んだ 「…こほっ、……酷い目にあったわ……」
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