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ようやく落ち着きを取り戻し、咲夜が淹れた紅茶でのどを潤す。
まだ少し喉の様子がおかしい。
咲夜もわたしの目の前の椅子に座り、自分で淹れた紅茶を飲んでいる
しかし、目の前に居るのは咲夜一人ではない
「…それで………これは、何…?」
わたしは咲夜の足にまとわりついている物体を指差した。
「もう……パチュリー様………これ、は無いんじゃないですか?……この子は人間ですよ」
咲夜が唇からカップを離し、困惑気味に笑いながら、そう答える。
「人間なのは見れば分かるわ……わたしが聞いてるのは、なんで人間がここにいるのかって事よ…」
咲夜は、ふぅっ、と小さくため息を吐いた
「………2日前、お嬢様が、また人間界に遊びに行ったんです。そこで…この子を拾ってきてしまったんです…
どうやら、捨てられていたらしくて……なんだか昔の私を見ているようで放って置けなかったらしいです。
で、同じ人間だから、私にこの子の世話をしろって、預けられたんですよ。
でも、この子、ちょっと変わった力がある上に、いたずらが大好きで目を離すとすぐどこかに行っちゃうんです…
で、今回はたまたま、足の向いた先がこのヴワル図書館だったという訳です。
あ、ちなみに名前は十夜って言います。
この名前もお嬢様が名付けました。歳は12歳だと自分で話してくれました。
少し、記憶があやふやらしくて、両親の事は全く覚えてないそうですが……」
咲夜はそこまで言うと足元に居る男の子の少し茶色がかった頭を軽く撫でている。
……どうでもいい事だ……レミィが何処に行って、そこで何を拾ってこようと、わたしに得になるわけでも損害を被るわけでもない……
……いや、ついさっき本の下敷きになったのはこの子供のせいでは無いのか?
………そう思うと、なんだか腹が立ってきた
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