脱出

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不意に、目の前に平たい何かが迫る。   兄弟達は上手く水流に乗り、平たい何かの横を擦り抜ける。     捕まる 捕まる 目の前まで平たい何かが来る…       逃げる僕の背中に、平たい何かがぺたりと張り付き…         破れた。     平たい何かは水に弱いらしく、度々この様に破れる。       しかし助かったと思うのは早計。破れた後には兄弟が無作為に数匹消えるのだから。       次は誰か 次は誰か     ここに居ても地獄だが、連れて行かれた先で幸せが待つとも限らない     餌もろくに貰えない。追い回されて疲弊して、そしていずれは死ぬのだろう。         そんな事を考えていた。             不意に、視界が歪む。白く赤く揺れる世界から隔絶され、眼前には…       浮遊感。落下。       そして、僕の世界はより狭苦しい透明の壁で仕切られ。     透明の壁越しに1人のヒトが見てる。         見るな。見るな。コワイコワイコワイコワイ…   逃げようにも、世界は円く区切られていて。     息が苦しい。こぽりこぽりと音がしない。       ヒトは、まだ僕を見てる。何か言ってるんだろうが、聞こえない。       僕はどうなるんだろう。どこへ連れて行かれるのか。
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