44人が本棚に入れています
本棚に追加
キラキラした世界は次第に遠ざかり、次第に世界は薄暗くなる。
暗い場所は、少し落ち着く。
ヒトが、何か言ってる。
「どうせ…持 帰っ…も」
「…死ぬ… ら…放…て 川…」
良く分からない。
突然、わあっと視界が揺れる。さっきより大きい浮遊感。区切られた世界の水と共に、身体が傾き…
落ちる
落ちる
落ち
その時、ヒトが何か言った。
「強くなれ!!」
ぼちゃん。
そこは見た事も無い水。広い広い。
こぽりこぽりと音のする変わりに、緩やかに水が流れる。
冷たい。気持ちいい。
キラキラの外の世界は、こんなにも広い。
きっとこのまま行けば、幸せな世界に行けるに違いない。
赤いひれを懸命に揺らして喜ぶ小さな彼を、ただ1羽の白鷺が、目で追っていた。
最初のコメントを投稿しよう!