迂闊

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―しくじった。 私としたことが、最後に大きなミスを犯した。 声は出ない。助けも、呼べない。 絶望。 …もう、時間が無いのに。私には時間が無いのに。 …こんな所に閉じ込められて、食事も与えられず。 奴はそんな私を嬉しそうに、たまに眺めて辱めを与える。 憎い。悲しい。悔しい。 『屈辱。』 ギラギラと照りつける、真夏の太陽が体力を奪って。 …ああ、もう永くない。 意識が遠のく。 死ぬ前に、一人前に…恋、がしたかった。 身を焦がす恋をして、命を受け継ぎたかった。 視界が揺れる。閉じ込める青い格子が揺れる。ジリジリと斜陽が―… ―…ああ、せめて… ツギニ ウマレカワルノ ナ ラ … 「あれ~?落ちてる~!おかあさーん、セミ死んじゃったよ~?」
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