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初夏の昼下がり、一匹のカマキリを見ました。
アスファルトで舗装された道の真中で、キラキラと太陽に照らされたカマキリ。
あまりにも太陽が眩しいので、きっと暑かろう…
そう考えて徐にカマキリの背に手を伸ばし。
刹那、私を拒絶するかの様に。カマキリは大きく羽を広げ、自慢の鎌を振り上げました。
…―来るなら来い。お前なんかに負けない。
まるで、そう訴えるかのように。懸命に羽根を広げ。
その姿に小さな自然の脅威を重ね見、私は伸ばした手を引きました。
未だ警戒を解かないカマキリに別れを告げ、道を歩き出し…
一台の、自動車とすれ違いました。
反射的に振り返ると、先程見た光景そのままに羽根を大きく広げ、自慢の鎌を振り上げる一匹のカマキリ。
…自動車に向かって威嚇し続けた彼の行方を確認したくなくて、振り返るのを止めました。
どこかで、無事でいると信じたい。そんな初夏の昼下がり。
全国の、カマキリの皆さん。
車と男児を見掛けたら、全力でお逃げ下さい。
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